++外伝/偉大な緑の協力者~『選択』~++
終章
 それから高等科課程一年早く卒業し、アザムは看護師として資格を得る。
 それと同時にベリルとの約束どおり、レイは拠点がない小さな町に普通の小児科内科を設立する事を決意し、卒業と同時にアザムが看護師・補助となる。
 
 アザムの看護の期間はこの時は未定だった。

 ティーロはアザムを定年前から少しずつ丁寧に交渉術や護身的な武術や武器の扱いも少し教えていた。

 覚えは思っていた以上に早いので、定年後は詰め込むのではなく確実に吸収させる事に重点を置いた。

 アザム本人も焦る事より時間は多少掛かるが、覚える事への重点をそれを了承した。

――待つ側は永遠を生きるのだから……




 全世界に拠点がある二つの団体‘スピナ’はその後直ぐにベリルや仲間達により壊滅。 宗教団体としての‘スピネル’は警察に情報を提供し、同じく活動が出来なくなった。

 ラト自身あの団体の上層でありながらも他の上層とは違い、自分の欲求と欲望で他の人を一人も汚してはいなかった。
 
 確かにこの考えは正しいと布教する事と、最後にザザを手に掛けたのは事実だが――

 そのためベリルが裏で動きかけ、四年間は捕虜としての扱いとし心身ともに鍛えなおされた。正確には生きる意味を見つけさせるために、国の機関には引き渡さずこちらで引き取った。
 その後、遠い国の小さな村の神父として生きるようにベリル自身が探し手配をした。

 レイと同じく償いをすることで罰を受けるのは当然だが、その中から本当の生きる意味を見つけて、いつか訪れるその日まで生き続けることが本当の償いとなる。
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