++外伝/偉大な緑の協力者~『選択』~++
 そんな事を自室で考えていたら電話が震えた。慌ててアザムは電話に出た。

<おい、ミッションは終ったぞ。 主犯の捕獲も出来たのでこのチームは壊滅だろうな>
『で、ベリルその次のミッションのメールは読んでくれた? それ概要で――』

<ああ、又今度は今回より大変かもしれんぞ。中東の内戦が丁度激しいところだな……あと最近病気も流行っているから余計に荒れているんだろう>
『東洋人のカメラマンと地元運転手、でさどっちも国が思っているほど簡単じゃないんだ。一回目の交渉期限は五日後だから俺も今回は行くよ。ベリルに通訳は要らないだろうけれど俺の方が流暢だよそこは……』

 アザムは電話をしながらロケットペンダントの写真を見つめた。
 そこにはレイではなくアザムに似た男と妻らしき女性そして生まれたばかりの赤子と小さな赤い石が入っている。

 
 あとテーブルのフォトフレームの三枚の写真。

 親子になった頃のレイと自分の写真。ベリルと横を向いて写真を嫌がるティーロとの写真に、メイリンさんが来た時に記念に三人で病院前で撮った写真。

 
 赤い石をつまんで転がしながら話を続ける。
 四つの写真を見つめながら言葉を選んでいるアザムの姿。
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