星の流れに 風のなかに 宇宙(そら)の掌に
あした風

西新宿の高層マンションから、

ひとりの女性が飛び降りた。



九月の終わり。




涼しく

秋らしい風が吹くようになっていた。




落ちたとき後頭部を打ったので、

幸いにも顔はきれいだった。




お通夜で仲がよかった女友だちが集まり、

死んだ彼女の顔にみんなで化粧をした。




「きれいな顔のままで、よかったね」

女友だちの一人が言った。



薄く頬紅を塗った彼女は

まるで生きているみたいで、

その眠りはとてもやすらかだった。




みんなは、彼女の棺に、

彼女が大好きだった白い薔薇の花を、

次々と添えた。




みんなは泣いた。




彼女は、二十六歳だった。
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