星の流れに 風のなかに 宇宙(そら)の掌に

五年前。



この年の春から

彼と暮らし始めた。




まだ二人とも

若くて

お金がなかった。





彼が突然に

「花見に行こう」

と言った。




吉祥寺の『いせや』で

一本八十円の焼き鳥を

好きなだけ買って、

井の頭公園へ行った。




池の柵に寄りかかって

缶ビールを飲んだ。




桜の花びらが降りかかり、

街灯にライトアップされた

桜の花を見上げ、




二人で

くすくす微笑みあった。

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