星の流れに 風のなかに 宇宙(そら)の掌に
七年前。
成人した彼女を
見届けることなく、
彼女の父親が
癌で亡くなった。
父親が入院した日から、
亡くなるまで毎日、
彼女は病院に通い続けた。
しょっちゅう体温計で
熱を測り続け、
体の痛むところをさすり続けた。
メモ用紙には
いつも父親の体温を
細かく記載していた。
父親は
最後の方は口も聞けず、
彼女の顔を見ながら
涙をぽろぽろ流し続けた。
身体がチューブだらけになっていて、
それでも心臓と
弱々しい呼吸だけが動いていて、
父親の胸の上では天使と、
迎えに来た死神が戦っていた。