星の流れに 風のなかに 宇宙(そら)の掌に


十五分前。




彼女は、

非常階段の下で

マンションの管理人と会った。




ふらふらして

酒に酔ったような様子の彼女を見て、





管理人は

「大丈夫ですか」

と声をかけた。




「大丈夫です。

酔いを醒ますだけだから」




彼女は気丈な様子でこたえた。




管理人が、

生きている彼女を見た

最後の人となった。
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