星の流れに 風のなかに 宇宙(そら)の掌に
──明日風は、僕の恋人である。
「きれいな顔のままで、よかったね」
女友だちの一人が言った。
みんなに化粧をしてもらい、
明るく
頬紅を塗った彼女は
まるで生きているみたいで、
その眠ったような表情は
とてもやすらかだった。
僕は、
冷たくなった彼女の唇に
キスをした。
血の通っていない彼女の唇は、
氷のように冷たく、
硬かった。
彼女の唇に触れるのは
これが最後だった。
そして
彼女の体は
灰になり、
風に溶けていった。