星の流れに 風のなかに 宇宙(そら)の掌に
自殺だったのか、
本当に酔いを醒ますだけだったのか、
本当のところはわからない。
彼女の部屋のミニコンポには、
COCCOの『Raining』が
エンドレスで入って流れていた。
開けっ放しのベランダの
レースのカーテンが
夜風に揺れていた。
その向こうには
新宿パークタワー独特の段状の明かりが見えた。
彼女は、
酒と一緒に大量の精神安定剤を飲んだ。
机の上には
薬をストックしていた箱が開いていた。
いつも持ち歩いている
ピルケースも空いていた。
たくさんのクスリと
空のシートが散乱していた。
そこから先はなかった。
そこで
時間は止まっていた。
ピルケースは
戻らない主を待ち続けていた。
音楽を
止めてくれる主もいなかった。