青空の向こう
普段使われていない薄暗い階段をひたすらのぼる。 
 
私の行き先はあの消毒液の匂いが充満した室内ではなくもっと別の、私の唯一気の休まる憩いの場所へと足を向ける。 
 
重い鉄の扉は普段立ち入りが禁止されているけど、なぜか鍵が壊れていて自由に立ち入れるんだ。 
 
扉を開けると真っ青な空に暖かい風が頬を撫で、私を迎えてくれる。 
 
パタンと扉を閉めて、屋上の真ん中で寝そべると視界一面が雲一つない真っ青な空が広がる。 
 
本当に気持ち良い。
 
保健室や病院なんかより、ここにいるほうが私の一番の治療薬だ。 
 
「ずっとここにいたいな…」 
 
なんて無理な話だけどね。 
 
人は亡くなるとどこへ行くんだろう。 
 
やっぱりあの空に別の世界があるんだろうか。 
 
そして私は近い未来、そこへ行くことになるのかな…。 
 
「…ハァ」 
 
私ってば、バカだな…、お気に入りの場所にいてもこんな空想を思い耽ってるなんて、本当にバカだ。 
 
「笑ったり 暗くなったり ……変なやつ」 
 
この屋上には私1人だけしかいないとばかり思っていたのに、どこからともなく不機嫌差を含んだ声に私は飛び起き、声の聞こえた方を見ると。
 
屋上の入り口に、無表情で私を睨みつけている男子生徒がいた。 
 
睨まれてることにムっとした私は負けじと 
 
 
「…私の勝手でしょ?あんたに迷惑かけてないんだし」 
 
気づいたら反論していた。 
 
更に眉間に皺を寄せる男子生徒に、私もありったけの不機嫌差で相手の出方を待った。
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