青空の向こう

悪夢


澄みきった青空の下で、下校時刻を過ぎた校庭には、各運動部のたくさんの生徒が活動していた。

陸上部だった私も、その1人。

元々走るのが大好きだったから、中学に上がり直ぐ入部した。

毎日が楽しくて、色鮮やかな日々だった。
新記録のタイムが延びれば嬉しくて。

充実した日々だった。

でも、あの日から全てが変わった。


中学2年の夏。

あの日もうだる様な暑さの中、50メートル走を颯爽と駆けていた。

「はぁ…はぁ…。」

ゴールした私に顧問の先生が満面な笑みを浮かべ。

「美空!また良いタイムが出たぞ!凄いじゃないか!」

まるで自分のことみたいに、嬉しそうに称賛する顧問の先生。

でもこの後、意識が途切れてしまった。

意識が回復したのは、薬の充満する真っ白な天井に、少し開いた窓から入る風で清潔なカーテンが揺れる室内…、保健室だった。

運動場に居たはずなのに、何でここにいるのかが分からず困惑していると。

「気が付いたみたいね 気分はどう?」
微笑んだ女性の保険医さんから声に、ビクッとするとクスクス笑われてしまった。

「…あの 私どうしてここに居るんですか?」

運動場に居て、確か走っていたはずなのに…。

「あなたは倒れて直ぐにここへ運ばれたのよ たぶん過労ね 」

その疑問は保険医さんの言葉で直ぐ解決できた。

でも過労って…。

疲れる様なトレーニングをしたつもりはないんだけどな。

新たな疑問が生まれてしまったな思いつつ。

「そうですか、迷惑お掛けしてすみません 」

一言謝罪をしてベッドから降りると目眩に襲われてしまった。

本当に、私どうしちゃったんだろう…。

「とりあえず、陸上部の先生に声掛けてから今日は帰えりなさい!」

という保険医さんに同意して保険室を跡にした。
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