青空の向こう

いつもより早い私の帰宅に、母はびっくり顔で迎えた。


「いつもより早いのね?どうしたの?」

不思議そうに聞いてくる母に、『早くて悪かったわね』と心の中で悪態をつきながら。

「うん、ちょっと体調崩しちゃったみたいで、先生から、今日はもう帰りなさいって、言われちゃって」


と説明すると、先にお風呂へ入りなさいと促され。


「今日は早めに寝なさい」


と付け加えられてしまった。


軽めのジョギングトレーニングするつもりだったんだけど。

できそうもないなぁ…。

しかたない、部屋で出来る柔軟体操で我慢するか。


なんて考えながらお風呂へ向かった。


明日は見学しなければならない。


トレーニングだけは怠りたくないけど。

きっと止められる。

『身体を休めることもトレーニングの1つだ』

という顧問の恐い形相を思い出したが。

身体を動かさないトレーニングはどうしても好めないのだ。


身体を動かして、汗かくと成果があるような気がして満たされるのだが。


軽めの柔軟体操や身体を休ませるというのは、成果が得られているのか満たされない。

だから好めないのだ。

その考えを直しなさい、と周りから良く言われるけど、こればかりは無理な話。

でも今日は倒れてしまった。

仕方ない、柔軟体操で我慢しておこう。


少し熱めの湯船に浸かりながら、今日倒れてしまった事の反省。

今日だけは身体を休め、明日は帰宅後、少し軽めのジョギングトレーニングをしようと決めた。


この時、既に私の身体は蝕まれていた。


なんて気付もしなかった。

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