青空の向こう
あれからお母さんに病院へと進められたが…。  
 
あんな薬や消毒液の臭いが充満した場所へまた行くなんてイヤだとお母さんを説得し、家を出た。 
 
時刻は8時30分、鼻血は大分止まってはいたが…。 
 
遅刻は決定だな、なんて自分を嘲笑いながら歩きだした。 
 
 
「美空!!!!」 
 
家から15分程歩いた十字路に差し掛かった時、背後から私を呼ぶ声に振り向くと。 
 
「夏季!?先に行ったとばかり思ってた」 
 
幼少期からの大親友が視界に映り、先に学校へ行ったとばかり思っていた私はかなり驚いた。 
 
「美空が学校休む場合はね おばさんから私の携帯に連絡が入ることになってるから 美空なかなか来ないし 心配したんだよ!!」 
 
あ~、私って本当に抜けてるな 
 
夏季にまで心配かけてしまった。 
 
「ごめんね 寝坊しちゃって…」 
 
気まずくて俯いていると、頭をポンポンと撫でられた。 
 
「何もなくて本当に安心した」 
 
ほっとしたのか、満面の笑みを浮かべる夏季。 
 
私までほんわかした気持ちに包まれ、夏季の笑みにつられて微笑んだ。
 
「でも夏季遅刻だよ?良いの?」 
 
夏季のお母さんは厳しい人だし、遅刻なんてしたら怒られるのでは?と心配だったが…。 
 
「ん~ 美空にジュース奢ってもらうから良いよ」 
 
意地悪そうな瞳に口元はニヤリと含み笑いを向けて言われてしまった。 
 
「…はいはい」 
 
全く感動した私の気持ちを返してほしい 
 
 
「それより 鼻にティッシュ詰めてるけど どうかしたの?」 
 
何気なく聞かれたこの質問にドキリとしたが。 
 
「風邪ひいたみたいで鼻水出てくるから詰めてみた」 
 
この説明に夏季は納得するだろうかと危惧していた気持ちは無用に終わった。 
 
「お腹出して寝てたんでしょ?美空は本当に抜けてるよねぇ~」 
 
うん 
 
抜けてるのは自覚してるけど。 
 
夏季に言われたら私も終わりだと思う
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