青空の向こう
某天美澤私立高等学校は偏差値が高く、受かれば将来有望といわれている学校なんだけど。 
 
私は見事受かって今年の春から晴れてここの学校の生徒となった。 
 
今年の4月22日で15歳になって、また一歩大人に近づけた。 
 
って普通は喜べるけど。 
あの14の夏の日から、私は時が経つのが正直いうと怖かった。 
 
高校に受かれば将来有望の特典とか、大人に近づくこととか。 
 
私の未来に無意味で、どうでも良くて関係のないことなんだけどね。 
 
そんな私がどうしてここを受けたのかというとね。 
 
制服が他校より可愛いから、凄く惹かれたというのが理由。 
 
それに家から高校まで徒歩だと30分、バスなら15分とそう遠くない距離にあるから。 
 
今日は家を出るのが遅くなった為、バスには乗らず歩いて行くことにした。 
 
だって1時間に3本しか走らないんだもん。
 
今の時刻8時45分過ぎたとこ、次に来るバスの時刻は9時5分。 
 
バスを待つより、歩いた方が早いわけだ。 
 
夏季と他愛ない話で盛り上がり歩いていると、着くのも早い。 
 
数十メートル先には某天美澤高校の門が見えて来た。 
 
肩をちょんちょんとつつかれ振り向くと少し困ったような表情の夏季が言いにくそうに聞いて来た。 
 
「美空?鼻にティッシュそのままにして学校入るの?」 
 
あー!!夏季に言われるまですっかり忘れてた。 
 
「……あ~ 教室行く前にトイレ寄ってくね だから夏季は先に教室に行ってて」 
 
もう血も完全に止まってるはず、一応トイレで様子見てみよう。
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