青空の向こう
夏季の悪戯っ気を含んだ言葉を軽くあしらい、教室へと向かう。 
 
でも、もう授業開始のチャイムはとっくに鳴っていた為、廊下は静かだった。 
 
「夏季…私のせいで遅刻しちゃって 授業も始まってるし……ごめんね?」 
 
本当に居たたまれない気持ちでいっぱいで夏季の瞳を見ることが出来ず俯いた。 
 
私の不注意でみんなに心配や迷惑をかけてしまう。 
 
私…本当に情けないなぁ…。 
 
ヤバ…涙出そう。 
 
「迷惑だなんて思ってない!!それに…おばさんとはあの日『美空の面倒は私がちゃんとみます!!だから学校の方は心配しないでください』って 約束したんだから!!」
 
穏やかな声に涙目なのも忘れて顔を上げると、笑顔の夏季が『わかった?』と言うのと同時に私の頭を優しく撫でた。 
 
「…って!! 早く教室行くよ!! も~泣くな!! 私が泣かしたみたいじゃん!!」 
 
だって…しょうがないじゃん!! 
 
嬉しいやら情けないやらいろんな気持ちが溢れて止まらないんだもん。 
本当にありがとう。 
 
夏季 でもね…。 
 
もう私、みんなに心配かけたくはないの。 
 
どうせ…私には明るい未来なんて来ないんだから。 
 
だから、もう私の事気にかけなくて良いんだよ!! 
 
夏季は夏季の明るい未来があるんだから。 
 
って言葉にしても夏季は聞き入れてくれないから、私がしっかりするしかないんだけどね…。 
 
 
「ありがとう 夏季があんまりにも感動する事言うから涙止まらないじゃん!!」 
 
涙目で睨みつけても夏季は悪びれた様子もなく教室へと歩くスピードを速めて行く。 
 
私も夏季の後に続いた。 
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