冷たい雨に咲く紅い花【前篇】
†
気づくと、
部屋の中を朝日が照らし出していた。
いつのまにか
そのまま壁際で寝てしまったようだ。
血だらけのまま
まずいな、
静音がくる前に着替えなくては。
体は昨夜より動く。
俺は左腕の傷口を無事な右手と口を使って、
包帯でキツく巻いた。
脚の傷は血が止まっていたが、
また傷口が開かないよう、
包帯で巻く。
左腕は痛むが、
歩くことはできる。
不器用ながら、
実織のおかげだな、と考えると、
よぎる
実織の声。