冷たい雨に咲く紅い花【前篇】
消し去るように、
俺は洗面所の蛇口を思い切り開き、
頭から水をかぶった。
びしょ濡れの頭をタオルでガシガシ拭きながら、
俺は血だらけの服を新聞紙に包み、
クローゼットの奥に押し込んだ。
今度、
いつもの医者のところに行った時にでも、
処分してもらうか。
あいつなら、
〝吉水(ヨシミズ)なら
慣れてるからな。
またか、
とグチの一つも言われそうだが、
俺もそれはもう慣れていた。