冷たい雨に咲く紅い花【前篇】
「ふふっ。巻き髪ですか?
…もしかしたら他にも理由があるのかもしれませんよ?」

「えぇー!どんな?」

「さぁ?それは紘夜様にしか分かりません」


紘夜様が何の理由もなく、女性の方をこのお屋敷に連れてくるなんてことは考えられない。



お父様の仕事を継ぎ、
誰よりも頑張っておられる姿を知っているから……。


例え、
そのお仕事が何なのかは私の知る所ではなくても、

その誠実な姿勢は伝わってくる。



そう、このお屋敷で働くようになってから、
紘夜様を見てきた。


長い年月、ずっと……。




< 116 / 413 >

この作品をシェア

pagetop