冷たい雨に咲く紅い花【前篇】
「ほ、本宅とか別宅とか、何なの?それ…。
兄弟で別々って、しかも久しぶりに会うって…?」
「〝俺の詮索をするな。一生帰れなくなるぞ〟」
もう!
また、その言葉っ!
「静音、後は本宅の準備を手伝ってくれ。
こいつは俺が連れて行く」
「はい。かしこまりました」
静音さんは応えると、静かに扉を閉めて、部屋を後にした。
な、
なんか…
気まずいんですけど……
何も話さないでいると、
一昨日の夜の事とか、あの雨の日の事とか、
なんか色々、
思い出しちゃってー……