冷たい雨に咲く紅い花【前篇】


「あ、ありがとう…」


紘夜の黒いジャケットに袖を通し、

気付く、


甘い、紘夜の煙草の匂い。



ジャケットは大きくて、
私をすっぽりと包み込んだ。



なんだか、
紘夜に包まれているみたいで、

恥ずかしくて、
自分の顔が赤くなるのが分かった。



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