冷たい雨に咲く紅い花【前篇】
ー紘夜ー
†
ザザッーー
樹々の中を走り抜けながら、
俺は、
感覚を研ぎ澄ます。
そして、
後悔した。
実織をこの場に連れて来たことをーー
本来なら、
一昨日の雨の夜に、すべて片付けていたのだから、
もう、
実織を帰してもよかった。
いや、そうするべきだった。
だが、欲が出た。
綺麗な実織を連れ、
並んで歩きたいとーー。
そんな俺のせいで、
実織を危険にさらしてしまった。
俺のせいだーー
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ー紘夜ー