冷たい雨に咲く紅い花【前篇】
私の呼びかけに応える事はなく、
静音さんは、

「車を用意しました。実織様のお宅まで、お送り致します」


え?
な、んで…?


静音さんまで、

そんな事言うの?




哀しくて、寂しくて、
急に、遠くに感じて、


涙が、流れた。




でも、静音さんの表情は変わらず、
用意されたタクシーに私を促した。



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