冷たい雨に咲く紅い花【前篇】

私は、
もうどうしたらいいのか分からなくて、

促されるまま、
タクシーに乗り込んだ。


タクシーは私を乗せると、何も告げていないのに、
走り出した。




後ろの窓を振り返ると、深々と頭を下げ、
見送る静音さんの姿。



その姿が、


さよならだと、

そう、告げているようだった。





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