冷たい雨に咲く紅い花【前篇】
「あの、それで紘夜様、お客様はどちらに?」
部屋を見渡す静音に、俺はバスルームを顎で示した。
「なかなか元気な娘だ。手こずるかもしれないが、頼む。静音」
「おまかせを」
そう言って、静音はタオルと着替えを持ってバスルームに向かう。
俺は鍵を差し込んだままバスルームを開け、
静音が中に入ると、すぐに鍵を閉めた。
これで、ひとまず安心だな。
静音にまかせておけば、大丈夫だろう。
雨に濡れたあの格好のままでは、あの〝客〟は風邪をひく。
それに、あの場所を見られ、ヤツらにも見つかった様だ。
さて、
どするかな……