冷たい雨に咲く紅い花【前篇】
そんな事を考えていたら、


バンバンッ
「紘夜様っ、紘夜様!!」


静音がバスルームのドアを叩き、
慌てた様に大声で呼ぶので、
驚いた。


めずらしいな。静音が慌てたり大声で呼ぶとは……

「どうした?静音」
ドア越しに、俺は尋ねた。

〝客〟は風呂中だとばかり思っていたからーー…



「お客様がっ、窓から出て行かれました!!」


「は?」


すぐに状況が飲み込めなかった。

ーが、


「紘夜さまっ、ここは3階です!!」


静音のその言葉で、
チ、と舌打ちし、タオルを投げ捨てる。



そして、バスルームの鍵を回し、ドアを開けた。





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