冷たい雨に咲く紅い花【前篇】
と、色々考えているうちに、冷たい雨と風で手はかじかみ、怖さと緊張で、
もう、柵を乗り越える体力さえ残っていなかった。
でも、
でも、
ここで挫けるワケにはいかない!
ズドンって川に浮かぶのも、
愛人もイヤ!!
あの男に捕まるのにくらべたら、こんなのなんて事ないー…
ガクッ
「ひゃっ…」
雨で足元が滑り、体勢が崩れた。
血の気が引き、
グラリ、と目眩がした。
もうダメ!!