冷たい雨に咲く紅い花【前篇】

「やばい」

「え?」


「このまま実織を帰したくなくなった」


甘く囁く、低い声。
近づく、紘夜の吐息。


引き寄せられる様に、私も紘夜の頬に触れる。



重なる、唇。

一つになる、吐息。



何度も、

何度も、
呼び合う、名。

交わす口づけ。



背中に回された紘夜の腕が、強く私を抱きしめる。



うん、

私も、もう、


離れたくないよ、紘夜。






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