冷たい雨に咲く紅い花【前篇】
そう、思うのに、
どうしても〝兄〟と話すと、こんな、ザワついた気持ちになる。
こうも違うものか。
実織と達花、
兄と俺…
考えても仕方ない、
と、窓の外を眺める。
闇夜に浮かぶ三日月。
闇夜に浮かぶ彩り豊かな花々。
思い出す。
淡い色のドレスを翻して庭を走り回り、
一生懸命花を摘んでいた、彼女の姿。
今はいるはずのない実織の姿を、
探してしまう。
そんな俺の目の前を、
くゆる煙草の煙が開け放たれた窓から、闇の空に吸い込まれてゆく。
なんだか無性に、
実織に逢いたくなった。
どうしても〝兄〟と話すと、こんな、ザワついた気持ちになる。
こうも違うものか。
実織と達花、
兄と俺…
考えても仕方ない、
と、窓の外を眺める。
闇夜に浮かぶ三日月。
闇夜に浮かぶ彩り豊かな花々。
思い出す。
淡い色のドレスを翻して庭を走り回り、
一生懸命花を摘んでいた、彼女の姿。
今はいるはずのない実織の姿を、
探してしまう。
そんな俺の目の前を、
くゆる煙草の煙が開け放たれた窓から、闇の空に吸い込まれてゆく。
なんだか無性に、
実織に逢いたくなった。