冷たい雨に咲く紅い花【前篇】
「実織を出さないのなら、自力で連れ帰る。上がらせてもらうぞ」
重い扉を片手ですんなり押し開き、実織様のお兄様が中に入ろうとする。
「お、お待ちください。実織様はこちらにはおみえではありません」
「じゃあ、どこに行った?こんな遅くまであいつが連絡も入れずに帰らないはずはない。
真影と一緒なんだろう?」
そ、そうは、いわれましても…
「私は…何も知らないのです…。申し訳ありません…」
本当に申し訳なくて、うつむいてしまう。すると、
お兄様は、ひとつ大きく呼吸をして、
「…悪かった。あんたは何も悪くないのにな」
クシャ、
と、軽く前髪を掻きあげ、苦い表情になる実織様のお兄様。
あぁ…
本当ですね、実織様。
紘夜様に物怖じしない実織様。前に話してくれましたね。
言い争いになる事に慣れているからかな?と。
きっと、
紘夜様と実織様のお兄様が
似ているのですね。
重い扉を片手ですんなり押し開き、実織様のお兄様が中に入ろうとする。
「お、お待ちください。実織様はこちらにはおみえではありません」
「じゃあ、どこに行った?こんな遅くまであいつが連絡も入れずに帰らないはずはない。
真影と一緒なんだろう?」
そ、そうは、いわれましても…
「私は…何も知らないのです…。申し訳ありません…」
本当に申し訳なくて、うつむいてしまう。すると、
お兄様は、ひとつ大きく呼吸をして、
「…悪かった。あんたは何も悪くないのにな」
クシャ、
と、軽く前髪を掻きあげ、苦い表情になる実織様のお兄様。
あぁ…
本当ですね、実織様。
紘夜様に物怖じしない実織様。前に話してくれましたね。
言い争いになる事に慣れているからかな?と。
きっと、
紘夜様と実織様のお兄様が
似ているのですね。