冷たい雨に咲く紅い花【前篇】
ー実織ー
†
「紘夜!紘夜ーー!!」
「うるせぇ!それ以上騒ぐと、ここで殺すぞ」
ガン!
と紘夜の銃を蹴り飛ばし、
赤髪の男が叫ぶ。
ガララララーー……パシャ、
紘夜の銃は
重く鈍い音をたて、
雨の上がった水溜まりの中を、
路地裏の奥へと、
遠く、
転がっていった。
血だらけの紘夜と私を、路地裏に止めてある大きな車に無理矢理連れて行こうとする。
「いいか?ひとつ騒ぐごとに、コーヤの手足撃ち抜くからな」
ヒジンという赤髪の男が私の手首を掴み、
重く心をえぐるような声で凄む。