冷たい雨に咲く紅い花【前篇】
「…なに、この女…泣くの我慢してんのか?」
掌を少しずらし、
赤髪の男が少し驚いた表情になる。
目に溢れる涙。
血の味がする口。
きっと私の表情は、見れたもんじゃない。
でも、
恥ずかしさより、
何より、
悔しくて、
血だらけの紘夜に守ってもらってばかりの、
何も出来ない自分が、
情けなくて
ごめん、
ごめんね、紘夜。
一緒に行こう、
って言ったのに、
私、何も出来なくて、
それどころか、
紘夜を、困らせてるだけーー