冷たい雨に咲く紅い花【前篇】
「……ごめん…、紘夜…」
ひとこと、声にした途端、
ひと雫、
頬を流れてしまった、涙。
驚いたような、紘夜の表情。
その紘夜と目線が重なった、
その時、
「そんなに、コーヤが大事か」
赤髪の男が私の顎を
グイッ、
と持ち上げ、鋭い視線を私に突き刺す。
「そういうの、メチャメチャに壊してやりたくなる」
そう、
重く低い声がした、
途端、
男の口が、
私の口を、
塞いだ。