冷たい雨に咲く紅い花【前篇】
体勢を崩した私は、
思いきり背中から地面に転んだ。


ザザーッ
「ーーッた!」

思わず、痛みが声になる。


情けなくて

気持ち悪くて

苦しくて


止めどなく溢れる涙で、顔はグシャグシャ、
わからない事ばかりで、頭もグシャグシャだった。


みっともなくて、
起き上がれない。

顔をあげられない。


紘夜に見られたくない。




「真朱、来い」

赤髪の男は女の人の方に向かい、

「おい、コーヤとその娘も車に乗せろ」

大柄の男に告げる。


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