冷たい雨に咲く紅い花【前篇】
ガチャ!

ドアが外から開き、

「おらッ、さっさと乗れ!」

太い声とともに、
ドン、
と俺の方に飛び込んできた、

実織の姿。


「実織!」

男に押された勢いのまま、
車内に飛び込んできた実織を受け止めた。


ズキン!

重い痛みが走ったが、
それよりも

「実織!大丈夫か!?」

実織の頭を両手で撫で上げ、
顔をこちらに向けるように無事を確かめる。


「紘、夜…」

震えて泣いているかと思った。

でも、



実織は違った。



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