冷たい雨に咲く紅い花【前篇】
「実、織……」

どうして、これを


そう言葉にする前に、

「どうしたらいい?これであの外にいる男を脅して、運転させればいいの?そうしたら、逃げられる?
そうすれば、紘夜を助けられる?」

一気に話す実織。


震える手に握られた、俺の銃。
しっかりとした目。

俺を助けたいと、言葉にする、
その実織のすべてが、

俺を目覚めさせるには十分だった。



「まかせろ実織。俺がやる」


自然と、零れる笑み。


なぜだろう、
撃たれたカラダはうまく動かない、


でも、
こんなにも


心強く感じる。



すべて、
お前のおかげだ。


実織。


お前が、

俺に力を与えてくれる。



独りじゃないと、


教えてくれた。


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