冷たい雨に咲く紅い花【前篇】
だから、
俺がお前を守る。
お前だけは、
必ず守る。
なんとしてもーー
馴染みの銃を腰に差し込み、
俺は後部座席から運転席へとシートを乗り越え移動した。
それだけで気を失いそうだったが、
視界の端に実織の姿があるだけで、意識が保てた。
「こ、紘夜!?」
俺の行動に驚いた実織が、心配そうに俺の腕にそっと触れる。
コートで伝わらないはずの実織の体温が感じられるようで、
それだけで、
体中の体温が触れられる腕に集中した。
俺は重症だな。