冷たい雨に咲く紅い花【前篇】
ー実織ー
†
約3週間、
私は、学校が終わると吉水さんの病院に急いで通う日々が続いた。
入院中の紘夜に会うため。
バイトは土日だけにしてもらって、
出来るだけ、紘夜と過ごす時間を増やそうとした。
帰りは必ずジュン兄が吉水さんの病院にバイクで迎えに来てくれた。
その間、ジュン兄は意外に何もいわなかった。
それがかえって怖いというか不気味な気がして、
もっと紘夜のそばにいたかったけど、
ジュン兄の迎えでちゃんと帰る様にした。
ただ、ジュン兄は絶対紘夜のいる部屋には入らなかった。
診療時間の終わった待合室で、いつも待ってる。
「入ればいいのに」
そうジュン兄に言った事があったけど、
「嫌だ。紘夜の顔見るとイラつく」
そう言って、眉間にシワを寄せるジュン兄。
紘夜も、
「準に会うとイラつくから部屋に呼ぶな」
そう言って、眉間にシワが寄る。