冷たい雨に咲く紅い花【前篇】


思い出し、
うつむくと、


くしゃ、
私の髪を優しく撫でる紘夜の手が、
そのまま、私を引き寄せた。


「もう、大丈夫だ。実織」

そう、耳元で囁く、愛しい声。



うん、

私も大丈夫だよ、紘夜。




紘夜が一緒にいてくれたら、

もう、大丈夫だよ。



何があっても、

紘夜と、乗り越えられるよ。




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