冷たい雨に咲く紅い花【前篇】
「緋刃!」
俺は、後ろ腰に差し込んでいたマニューリン製の銃を素早く引き抜いた。
「おっと、コーヤ。この娘に当たっても知らねぇぞ」
言うが早いか、
緋刃はそばにいた実織を腕で抱えるように引き寄せた。
よぎる、
嫌な記憶。
嫉妬で、気がおかしくなりそうだ。
「大人しくしろよ、コーヤ。俺の手が滑って〝実織〟の顔に傷がつても知らねえからな」
ニヤリと笑い、
緋刃はサバイバルナイフを取り出し、
実織の頬にあてた。
構えた銃は、確実に緋刃を捕らえていたが、
実織にもしもの事があったら、
そう思うと、
俺は臆病になった。
情けない。
前の俺なら、間違いなく引き金を引く。
なのに、
実織を前にすると、
こうも俺の動きを、俺の心を乱すものかと、
はじめて知った。
俺は、後ろ腰に差し込んでいたマニューリン製の銃を素早く引き抜いた。
「おっと、コーヤ。この娘に当たっても知らねぇぞ」
言うが早いか、
緋刃はそばにいた実織を腕で抱えるように引き寄せた。
よぎる、
嫌な記憶。
嫉妬で、気がおかしくなりそうだ。
「大人しくしろよ、コーヤ。俺の手が滑って〝実織〟の顔に傷がつても知らねえからな」
ニヤリと笑い、
緋刃はサバイバルナイフを取り出し、
実織の頬にあてた。
構えた銃は、確実に緋刃を捕らえていたが、
実織にもしもの事があったら、
そう思うと、
俺は臆病になった。
情けない。
前の俺なら、間違いなく引き金を引く。
なのに、
実織を前にすると、
こうも俺の動きを、俺の心を乱すものかと、
はじめて知った。