冷たい雨に咲く紅い花【前篇】
「コーヤ、その銃をこっちに寄越せ」


ーーッチ、

唇を噛み締め俺はしゃがむと、
銃を緋刃の方へ、芝生の上を滑らせた。


ガラララーーザザッ、

ガッ、
緋刃の足が滑る銃を踏みつけ、動きを止めた。

と、
思ったら、その銃の動きを止めたのは、



実織の足だった。


桜色のドレスの裾から覗く白いヒールの下で止まる、

俺の黒い銃。



ーーえ?


予想外の事に、

俺も、
緋刃も、

一瞬、動きが止まった。



実織は、その隙を見逃さなかった。



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