冷たい雨に咲く紅い花【前篇】
† ー実織ー †
自分でも驚いた。
でも、
カラダが、動いた。
このまま、前のように紘夜を困らせるだけにはなりたくない。
このまま、前のようにこの男の言いなりになりたくない。
そう思ったら、
緋刃の足より前に、
私の足が、
出た。
一瞬、
止まった緋刃の動き。
今だ!
そう思って、
緋刃の腕から下にすり抜け、紘夜の銃を拾い上げた。
その時、
ツ、
と、首筋に痛みが走ったが、構わない。
私は、
紘夜のもとへと、走り出した。