冷たい雨に咲く紅い花【前篇】
「紘ーー」

名を呼んだ、瞬間、


ザァーーッ!

何かが風を切って、私へと飛んできた。


「実織!」

グイッ
と、紘夜の力強い腕が私を引き寄せ、庇うように、
私の体を紘夜の体で包み込む。


ザッ!

何かが、切り裂ける、音。

そして、



私を包む紘夜の腕が、


紅く、


染まった。



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