冷たい雨に咲く紅い花【前篇】
籠の中に咲く花
どこまでも、
どこまでも、続く闇。
走っても、走っても、前に進まない。
ううん、
今自分が前に向かって走っているのか、
どこをどう走っているのかさえわからない。
暗くて、
深い、
怖いほどなんの音もしない、
静かな、
静かな闇を、
走っていた。
疲れて、
もう休んでしまいたいけど、
ここで休むのは怖くて、
怖いほどの孤独で、
押しつぶされそうで、
泣きながら、走り続けた。