冷たい雨に咲く紅い花【前篇】
ー実織ー
†
「おはようございます。実織様」
差し込む明るい光と、
穏やかで、聞き覚えのある声で、
目が覚めた。
あれ?
ーー夢?
そんな事を思いながら寝ぼけて、
ぼー、としていると、
目の前にメイドさんが現れた。
「ーへ?メイド…さん?」
今イチ状況がつかめない、私。
「はい、静音と申します。実織様のお世話をさせていただく事になりました。よろしくお願い致します」
「は、あ?こちらこそ……」
ベッドに横になったまま、受け答えしているうちに、
思い出した!
昨日の出来事をーー!