冷たい雨に咲く紅い花【前篇】
「な、なに勝手に、私の名呼び捨てにしてるのよ !?」

「なら、お前も、俺の名を呼び捨てにすればいいだろ」

「そう言う問題じゃ-…」

「あー、もう、うるさい。ほら行くぞ」


と、その瞬間、
私の体は


ふわりと

浮いた。




あの日、ここに連れてこられたときの様に、
肩に荷物でも抱えるかの様に、
紘夜は私を抱えた。


「ちょっ、ちょっと!こういう場合、抱え方が違うんじゃないの !?」

私の目の前、広い背中に向かって、叫ぶ。


頭に血が上るし、
これじゃ、色気も何もない。


それに、紘夜の顔の横に私のお尻があるって、
どうなの!?


これはこれで、恥ずかしいんだけどっ!


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