冷たい雨に咲く紅い花【前篇】
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食事の部屋はとても広くて、
10人ぐらい座って余裕で食事出来る、白い大きなテーブルだった。
そこに、紘夜と私、二人だけ。
「…ねぇ、ここで二人だけで食べるの?」
向かい合う紘夜に、私は尋ねた。
向かい合ってはいるけど、
遠い……。
豪華なフルコースが並べられる程、
私と紘夜の間も距離があった。
「当たり前だ、ここじゃなくて、どこで食うってんだ?」
「だって、こんな広いところに二人だけなんて…。
静音さんは?静音さんや、他の人達も一緒に食べたら?」
私が、そういうと、
紘夜はちょっと驚いたような顔をした。