冷たい雨に咲く紅い花【前篇】

  †


食事の部屋はとても広くて、
10人ぐらい座って余裕で食事出来る、白い大きなテーブルだった。


そこに、紘夜と私、二人だけ。


「…ねぇ、ここで二人だけで食べるの?」

向かい合う紘夜に、私は尋ねた。
向かい合ってはいるけど、



遠い……。


豪華なフルコースが並べられる程、
私と紘夜の間も距離があった。


「当たり前だ、ここじゃなくて、どこで食うってんだ?」

「だって、こんな広いところに二人だけなんて…。
静音さんは?静音さんや、他の人達も一緒に食べたら?」



私が、そういうと、
紘夜はちょっと驚いたような顔をした。



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