冷たい雨に咲く紅い花【前篇】
「何なんだお前はっ、さっきから!」
え?
声がして、目線を上げると、
目の前には、長身の紘夜が立っていた。
「紘、夜……?なんで…?」
「俺は人の気配には敏感なんだよっ。さっきからお前の気配が部屋の外でして、鬱陶しいったらない!」
う、鬱陶しいってー…
「ヒドい!そんな言い方しなくてもいいじゃないっ」
「本当のことを言っただけだ。そわそわした気配が気になって、仕事にならん!用があるなら、さっさとしろ、さっさと!」
むかっ