冷たい雨に咲く紅い花【前篇】

  †


はぁー…

溜め息ばかり出てしまう。

また怒鳴り合いで終わっちゃった…
サンドイッチも押し付けて走り去っちゃったし、
おかしいなぁー、こんなはずじゃなかったのに…


「どうされたんですか?実織様」

用意された部屋で、私が机に突っ伏していると、
静音さんの柔らかい声が聞こえて来た。


「……ちょっと、自己嫌悪中」

「なぜです?」

「…また紘夜と怒鳴り合いしたから、」

「怒鳴り合い…?紘夜様とですか?」

「そう」

「…凄いですね、実織様は」



え?スゴい?

ーって、何が?


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