冷たい雨に咲く紅い花【前篇】
「…ー立派、か…。
ね、どんな風に立派なんですか?紘夜って」
私は、あまり期待もせず、聞いてみた。
すると、
静音さんの目が輝いた。(ような気がした)
「この真影家は、元は華族の血を継ぐお家柄。
紘夜様は真影家のご子息で、お兄様とお姉様がいらっしゃいますが、
紘夜様がお父様の事業を引き継ぎ、
周りの信頼も厚い、尊敬出来るお方でございます」
へ、へぇー、
それは確かにスゴい家柄。
周りの信頼も厚い尊敬出来るお方、って所は引っかかるけど……。
「それで、その家族は?このお屋敷で見かけないけど…」
「それは……」