冷たい雨に咲く紅い花【前篇】

雨……。

思い出す、あの日の事。




黒いコートを着て、黒い煙草をくわえた、紘夜の姿。





あっ……


「ごめん!ジュン兄、また電話するからっ」

『あ、おいっ、実織ー…』



ジュン兄の声を聞く前に電話を切り、



私は紘夜を追った。



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