冷たい雨に咲く紅い花【前篇】

「…な、…んで?」

思わず零れる、言葉。



降りしきる雨の中、

紘夜を助け起こす事も、
逃げ出す事も出来ずに、




私はただ、

立ち尽くしていた。




「いーから、お前は部屋に戻れっ」


そういいながら、
紘夜は私を突き放すかの様に、顎で屋敷の方を指した。




< 91 / 413 >

この作品をシェア

pagetop